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DATE: CATEGORY:[本・書籍・文芸・創作]
リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか (講談社現代新書 1957)

■内容紹介
 知識人は、怒れる若者に希望を語れるか。サブカルチャーは人を救えるか。言葉は無力か。
 僕らはどんな時代を生きているのか。
「わかりあう」つもりのない二人が、国家論、表現論まで、徹底的に論じあう。

■感想

 これまでに雑誌等で掲載されたもの+語りおろしの対談集です。

 そもそも自分が批評とか評論の本で読んだことがあるといえば、この東・大塚の両者ぐらいなのですが。

 素朴な感覚かもしれませんが、彼らの本を読む限り、パッと見てというか、何を想定しているのか分からずに読むと抽象的すぎて呪文のような文章になるもののw、話している対象を(何となくでも)想像できたとき、逆にこれまで漠然として言語化しづらかったものを的確に表現している、かゆいところに手が届いたような感動が湧くのは楽しいです。

 さて本書でも面白い話が沢山あり、流し読みするだけでも楽しいものがありました。
 ライトノベルの「行間」の話とか、大塚英志は二〇〇二年の時点で真田アサミが嫌いらしいとかw、かなり多方面に渡る話題の中で、印象深い箇所も多いのですが。

 その中でもかなり興味深かったのは、第三章の冒頭『らき☆すた』をその究極として言及される「空気を先に読んだ奴が勝ち」「作品をネタとして受け入れる状況」「ネタに対するオタクたちの反応の先読み」あたりの話。

 これが、昨今のオタク消費界隈で何となくずーっと釈然としない雰囲気みたいなもの(ちょっと大げさですが)として個人的に感じられていたので、特にここでの「ネタの先読み」という表現はグッと来たというか、ひどく納得したし、これからもう少し掘り下げて考えていきたいと思わされました。

 いまの時点での自分の感触としては、そういった「空気を読む」気分を『らき☆すた』と同等かそれ以上に表しているのが『さよなら絶望先生』だと思ってます。特にそのラジオである『さよなら絶望放送』は顕著かと。

 まだ自分の中でそういった「空気を読む」感じの、どこに対して違和感を感じているのか不明瞭な部分があるので深くは語れないのですが、作品を作品としてではなく、ネタとして消費する環境が出来ているとして、絶望先生なんかでは”作品をネタとして消費する状況を作品として(以下略”というように、変なスパイラルが起きているような気がします。
 初期はそうでもなかったのかもしれませんが、最近の絶望放送ではもはやアニメの枠からも脱出して、ラジオ独自の内輪+自虐ネタみたいなものを出しては自己完結、という流れを繰り返しているようにさえ見えます。ちょっとついていけない。
 それらを、今は良いかもしれないけど、ずっと後になってから観て(聴いて)面白い作品なのか?とか考えてしまうんですよね。アニメ作品のニュース化というか。

 まあ「後からみて面白い」という事が良いとも限らない上「面白さ」自体もこの場合一概には定義できないし、それこそ作家性だとか、もっと広がって若年文化的な「空気を読む」姿勢や雰囲気なんかとも関係してくる問題なのかもしれませんけど。

 タイムリーな話題としても、ここ最近はラノベ界で「メタブーム」が起きている、みたいな記事をよく目にしますし、メタ的な題材を扱う作品も出てきてるようです。
 個人的にはそれはブームというほどではないというか、ラノベが以前から内在させてきた性質みたいなものなのではないかという気がしているのですが、まあ時間が経てばそれなりの方向性も見えることでしょう。
 というか本当にブームになった時には、その評論を東浩紀にしてもらいたい。

 さて割と話がそれましたが、最後に。
 この本のもう一つのみどころ(?)は、大塚英志と東浩紀の”分かり合わない議論”でしょうか。
(「特に第三章」とあとがきにも書いてありますが)ときたま苛烈に二人が対立するあたりは「わー口論だー、喧嘩だー」つって非常に頭の悪い読み方をしてたんですけどw、それでも面白かったのは確かです。

タグ : 大塚英志 東浩紀 新書

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