■内容紹介 七尾あきらの近未来ハードアクション!
慌てて追いかけた大介が追いつめたはずの屋上から、あっさり飛び去った美少女「オズ」は、だが春休みが明けたある日、大介のクラスに転入してきた……男として。
■感想 切り口を始めとして、設定から華麗なアクション(何しろプログラムをインストールした人間が闘ったりします)から、色んな面で奇抜、そんな中での優しくマッスグな男の子の話。
(※以下続きます)
前半は機械・プログラム的な人間観の説明だった部分が、後半には段々と感情や気によるコントロールにシフトしていくのがダイナミック。
でもそのわりに機械的な構造が”形だけ”になることもなく、双方の設定がちゃんと維持されている辺り、かなり世界観を立体的に浮かび上がらせるのに効果しています。
ただ、新しい装置(物的な意味での)やガジェットが次から次へとバスバス出てくるものの、少々そのシーン限りの脅威・ギミックが目立ってしまい、刺激的ではあるんだけどもそれが続いちゃうと逆に単調というか、読んでて「もういいです」ってなりかねないかと。
次にキャラですが、とりあえず主人公が最近のラノベで主流の系統と比べると、ちょっと捉えどころのない性格です。
でも読んでいくうちに、混沌とした作品世界の中でひときわ際立つマッスグな性質(これはオズとのやりとりでもうそのまま表現されている気がしますが)、それに至る分かりやすくもやや重めの原因、そしてプログラムとの葛藤などを通じて描かれる「自制」の大切さ、もっと言えばカッコヨさ。
これらによって、不思議と上手い具合に読者をお話に引っ張ってくれるキャラかと思います。
自分はとりわけ主人公の「自制」的な行動に面白さを見出しながら読んでましたけど、これは裏返せば、ラノベにおいて割と重要であろう、思春期あたりならではの感情の高ぶりや葛藤が少ない、という事でもあります。
性格もしっかりしている上、プログラムという概念があるため、さすがに他の一般的な主人公のように扱えないのは当たり前かもしれませんがw
まあこの作品においては”結果的に葛藤しづらい主人公になった”ではなく、より作品世界にあった方法に”わざと選んで置き換えた”と捉えるべきでしょうか。
……いま思い当たったのですが、そもそも「自制」する必要が出てくるという事は、葛藤が存在している証ではありますね。
で、オズ。これが何とも不思議というか立ち位置が分かるような分からないようなという、さっき主人公のつかみ所がないと書きましたけども、その比じゃないかも。いや逆に分かりやすいという人もいるかもしれんが……。
あまり多く書くと面白味がないのでアレなのですが、たとえばまりんはヒロインで、主人公とあれやこれやあって……という関係があるところに、オズが介入、オズは何をどうしたいのか、主人公をどう思っているのか、いやこう書くと普通なんだけどそもそもオズの特異性があまりにも強いわけでってもうここまで書いてきて自分でちょっと何が言いたいのかわかんなくなってますが、とりあえずオズという特殊なキャラが、かなり不安定な位置ながらもこのお話での重要な意味・ウエイトを担っているわけですよ。
あと背景設定で気になったのが”日本震災(ジャパン・クラッシュ)”という過去にあったらしい災害。
単純に、それについての具体的な説明が少なく感じます。
確かにこの巻で展開されるお話と直接的には関係がなさそうではあるものの、背景装置として「過去にできた大きな傷跡」という印象は弱くなくて割と気になりますから、それについて少し触れておいてもよかったのではと。
読む前は、あらすじなどを読んでラノベ的嗅覚で面白そうだと思ってたのですが、実際には思いのほかガッチリと作られた、読み応えのある世界でした。
なのでサラっと気軽に読めるかどうかは怪しいかもしれないけど、少し濃い目のものをお探しの人にはオススメ。
あ、アニメ化とかドラマCD化する時は、トトのCVは岩田光央きゅんでぜひ。
タグ : 本 ラノベ 七尾あきら GA文庫
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